コンテンツと権利証の流通

2.コンテンツ流通のユースケース

コンテンツ(正式コピー)の権利証流通

ここでは、コンテンツの制作者側の管理のもとで、多数のコピーを作成し、販売する場合に、ブロックチェーンによる権利証や鑑賞権(鍵)を並行して流通させる仕組みを例示します

  • 版元にとっては、違法コピーが横行しては困るので、これまでも、DRM、デジタル著作権管理が行われています。こうした仕組みは引き続き必要でしょう
  • 版元から販売代理店などを通して、最終的に消費者に届くまでに、まず、権利証用紙(鍵はまだ埋め込まない、白紙の用紙のようなもの)をばらまくことができます
  • 例えば、まだ鍵が埋め込まれていない用紙を、コンテンツの宣伝に紐づけて(アンカリング)ばら撒くという販売促進から始められます

コンテンツ(正式コピー)の権利証流通 2

販促コンテンツを見て興味を持った消費者が、購入する場合、初めて権利証に鍵を埋め込む処理をします

コンテンツの販促ツールとして

これまでお話しした仕組みの応用として、SNSなどのWeb空間で、多数の一般ユーザーやインフルエンサーに販促チラシをばら撒いてもらい、最終的に誰か、消費者が買った場合、そこまでブロックチェーン上で経由した人すべてに、一定の謝礼をプレゼントするという仕組みが作れます

コンテンツの転売

消費者にとっては、コンテンツが転売可能であれば、資産価値を感じて嬉しいでしょう

  • 消費者が残存価格(転売収益)を見込んで新規購入する場合、最初に買う時の価格を安く感じているでしょう
  • 消費者の中には、新規で買うほど欲しくはないが、転売廉価であれば買う、という層もあるでしょう
  • 版権者にとっては、容易に転売されると、売り上げが伸びないとの見方があります
  • しかし、良いコンテンツが転売市場が好評判とともに広がれば、新規購入が増大するという面もあるかもしれません

版権者が消費者のコンテンツ転売を容認できるような、版権者側へのインセンティブを考えてみましょう

  • 以下の例は、コンテンツが古物として転売される時に、ブロックチェーンのエスクロー機能を使って取引する仕組みです
  • 売り手は、コンテンツを売る、すなわち、それを観るための鍵を転売しますが、仲介するエスクロー機能は、版権者側へのインセンティブとして、取引の都度、版権者へ一定のペイバックを行ったり、必要に応じて、画質を落としたり、視聴期間を制限するためのB鍵に交換するといった仕組みです

コンテンツの転売、ビジネスモデリング

版権者側の収益に影響する要素を概観してみると、以下のようにモデル化できそうです

コンテンツのビンテージもの、競りの仕組み

例えば、仲介業者を通じない、売買当事者同士の、Peer to Peerの競りと売買を、プラットフォーム上で自動化するような仕組みを作れます

もちろん、このプラットフォームを当初の版権者が運営するのも面白いかもしれません

デジタル・コンテンツは、正式なコピーとして、例えば初版1,000刷(ピース)のように限定発売だったとしても、版元に原盤があるので、いつでも再版の可能性があります。それでも、 制作時期がタイムスタンプで証明されるなら、初版は初版としての価値があり、二次市場では、再版とは違う高めの価格が付くでしょう。二次市場での流通量が少ない時の競りの可能性と、その仕組みについてみてみます

コンテンツと権利証の流通、まとめ

物的資産やデジタルコピーの真正性の証明に、ブロックチェーンが利用されるようになりました

前段では、物的資産も含めて、権利証の対象物となりうるものを、洗い出してみました

後半では特に、デジタル・コンテンツを大量にコピーして拡販する場合に、ブロックチェーンをどのように利用できそうか、検討してみました

物理的な資産でも、例えば限定生産、シリアルナンバー付きの高級カバンや腕時計などで利用できそうです

ブロックチェーンの「トランザクション」は、権利証、鑑賞権(鍵)として仕立てることができ、コンテンツと並行して流通させるという仕組みが作れます

最初に、コンテンツの開錠鍵をしまうフィールドを空欄のまま、販促情報とともに大量に拡散することができます

これで、一次卸、二次卸など、多段階でチャネルを構築して、最終的に消費者が購入して初めて、鍵を埋め込む仕組みが作れます

この利点として、流通過程で窃盗や横流しのリスクを排除できます(鍵が無い状態では鑑賞できない)。最終消費者が購入したところで、流通経路のノードに謝礼を支払うという仕組みです

権利証の貸し借り、転売の仕組みも見てきました。転売が可能であり、かつ版権者にインセンティブを払うという仕組みが作れます

前段に書きましたが、ブロックチェーンで権利証や鑑賞権を作るメリットは、ほかにも、ブロックチェーンの暗号資産の取引と組み合わせることが容易であり、また、スモールスタートでき、P2P(ピア・トゥ・ピア、1on1、相対)取引のニーズがあるところにマッチするという点にあるでしょう

デジタル・コンテンツのビンテージもの、 制作時期が証明されるなら、初版は初版としての価値があり、二次市場では、再版とは違う扱いとなりそう、二次市場での流通量が少ない時には競りもありそうだ、との可能性と、その仕組みについてもご紹介しました

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