3.ブロックチェーンによる債務流動化とファイナンス
ブロックチェーン債務証書で支払
良く知った取引者間で、ブロックチェーン債務証書を扱うグループを作り、決済システムを共有します
右側の輸入者が買掛債務を立てるとき、その債務証書をブロックチェーン上で発行して、売掛側に渡します
証書には、金額と支払期日、それと、期日にどうやって処理(支払い)をするかを明記します
例えばひと月ごと、証書は多数溜まっているかもしれません。反対方向の商流もいくらかあるかもしれません。
月末などの、支払期日に所定のシステムが溜まっている債務証書を合算、差し引いて、差額の決済尻だけを原債務者のファームバンキングにコマンドを出して銀行送金させます

ブロックチェーン債務証書の早期現金化
輸出者が、早期に現金化したいときもあるでしょう。決済システムには、予め、このサプライチェーンに興味のある金融会社が参加して、ニーズに応じて応札できるようなシステムにします
輸出者が、支払期日よりも前に、こうした金融会社に債務証書を引き受けてもらい、対価として当該金融会社から即座に(金利、リスクなど手数料を引いて割引いた)送金をうけます
輸出側からの起動で現金化するので、一見すると、輸出金融の一つに見えるかもしれません
しかし、この決済システムの特徴に、金融会社がその得意な地域や業界に応じて、輸出側、輸入側のどちらにもつけるという中立性があります
以下の例で、手を挙げる金融会社は、輸入者の信用判定が出来ているでしょう。その意味では、輸入金融の銀行ユーザンスとも言えます

輸出者の早期現金化のシステム操作イメージ
輸出者も、輸入者も、決済システムにログインして、受け取り債務証書を確認したり、簡単な資金繰り表を出すこともできるでしょう
ここでは、受け取り債務証書を引き受けてくれる金融会社をリストアップする操作イメージを想定してみます
金融会社があらかじめ、債務証書の属性情報をモニタリングしておけば、検索結果は早期に表示できるでしょう

ブロックチェーン債務証書でサプライヤーに支払
輸出者が早期に仕入れ先や部品供給サプライヤーなどの「そのまたサプライヤー」に対して負っている買掛債務を売掛債権を用いて解消したいとき、原債務者から支払を受ける期日よりも前に、原債務者の債務証書を「そのまたサプライヤー」に引き受けてもらうこともできます
もちろん、「そのまたサプライヤー」がそれを受けることを意思決定した場合です
ブロックチェーンの債務証書は、金額を分割して使用できます
以下の例で、原債務者である輸入者が、海外の大企業で信用力も十分あれば、サプライチェーン総体としての採算から、そうした大企業の債務がマネーのように流通する可能性もあるでしょう
各所で債権債務の相殺が生じて、銀行送金が不要となります

サプライヤーが債務証書を早期現金化
そのまたサプライヤーも、受け取り債務証書を早期に現金化したいときがあるでしょう。決済システムに参加する金融会社は、原則として原債務者の信用判定が出来れば、引き受けは可能です
特に製造業では、膨大な協力会社が幾重にも層をなして参画しているので、早期に現金化したい、あるいは自社の信用枠を節約して大企業である原債務者の信用で現金化する、という「Deep Tier Supply-Chain Finance」のツールになる可能性があります

おわりに
このコンテンツでは、貿易取引、貿易決済、貿易金融におけるブロックチェーン債務証書の発行、債務流動化、また、基本的なファイナンシングの仕組みについて、ブロックチェーン決済システム(別紙参照)の利用も含めて、書き起こしてみました
- 輸出銀行、輸入銀行、信用状、輸出手形などを使用しない、直接送金や相殺決済を対象
- 買掛から債務証書を起票し、流動化したあとの基本的な決済、あるいは決済日前のファイナンス
- 中立的な立ち位置の金融会社が参画して、当事者からの債務証書引き受け、早期現金化を支援する仕組み
今回は、ブロックチェーンによる貿易決済の基本形について提起しましたが、輸出金融、輸入金融、マルチカレンシーのネッティング決済、Deep Tier Finance などを書き起こしていく予定です
Why Blockchain? ブロックチェーンで作らなくても、すでに多くの機能はレガシーシステムとして存在しますが、まず、そのコストや囲い込み効果を考えたうえで、次にブロックチェーンによる新たな経済システムというものが今後広まるか、将来を想定してみるとよいかと思います
当方はコンサルティング&知財管理会社のため、自らは事業化しませんので、ご興味ある方はまず、情報交換にお声がけください
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