高齢化と服薬管理/支援の現場

4.ブロックチェーンによる医薬品流通のトレーサビリティ、服薬証明まで

医薬品流通 1

ここでは、医薬品の製造、流通、小売りといったサプライチェーンにブロックチェーンの特性を活用して、患者の服薬、服薬したことの証明までできないか、検討してみます

まず、医療業界の全体像を、次のようにリストアップして想定します。互いに受発注、出荷・入荷、納品書、あるいは情報の受け渡し、買掛・売掛計上、決済・支払いなどのサプライチェーンマネジメントがあることでしょう

医薬品流通 2

医薬品の商品としての流れを、サプライチェーン上で簡単にまとめると、以下のようになります

ブロックチェーンの特徴

服薬管理や服薬証明などに、ブロックチェーンは活用できそうでしょうか

ブロックチェーンの特徴は、Peer to Peer, 1 on 1 でデータを移転していくこと(分割、合算もできます)、移動する、送付するたびに、電子署名をするので、真贋証明ができること、移動の履歴が芋ずる式に残ること、第三者、エスクローを介して、三者同意で先に進むような仕組みが作れることなどが挙げられます

ブロックチェーンには、二つのチェーンがあります

1.署名のチェーン

2.ブロックのチェーン

業務設計や要件定義の側から見ると、「署名のチェーン」をどう使うかが重要となります

ブロックチェーン活用の可能性

たとえば、服用ないしは注射したことの証明書を出したい薬やワクチンに対して、製薬会社の納品書(品質証明書)からはじまり、病院における接種証明まで、芋ずる式に元のドキュメントに署名を連ねていく仕組みが作れます

逆輸入品、偽造医薬品への対策 1

国内市場だけ見ていると、サプライチェーンに問題は少ないかもしれません

海外でライセンス生産している医薬品が、契約に反して逆輸入されたり、海外で偽造されたものが個人輸入などの制度を使って流れ込むと、悩ましい問題となりそうです

現在の技術でも、ある程度、パッケージングの工夫で偽造品を見分ける方法があります

逆輸入品、偽造医薬品への対策 2

医薬品自体の封印、特殊印刷のほかにも、製品に一対一で対になっている納品書(証明書)を添付する、これは宝石の鑑定書と同じようなものですが、その証明書が無ければ製品を信じない、という商流ができると良いかもしれません

ブロックチェーンでは、例えば薬の箱単位はもとより、一錠づつ、タブレット一つづつを対象にした多数の証明書の作成であっても、低コストで作れるという特性があります

ブロックチェーンでまず、所定の証明書用紙(内容はまだ白紙)を作り、納品するたびに、受注者が電子署名をして発注者に製品と対で渡します

ブロックチェーンによる証明書の構成

前の説明では、ブロックチェーンによる証明書を発送伝票のように使用してみました

偽造防止を考えるとき、薬品だけでなく、包装も含めた製品構成、製造業で言うと部品表(BOM)のような全てのパーツを個別に証明できるとよいでしょう

例えば海外で、ライセンス生産している薬品の包装箱の印刷会社が、ひそかに箱を過剰に生産して横流しすると、見た目は正規品の箱の中に偽造医薬品を入れることができます

以下のようなBOMのイメージを想定するとき、その一つ一つに証明書を付けて、製品とともにサプライチェーンを川下に渡していく仕組みが作れます

配送ミス、すり替え、横流し、シュリンクの防止

商品の確実な出荷配送のために、例えば卸から、外部の運送業者を介して、処方薬局まで発注ロットを運ぶ時、複数の段ボール箱をまとめてラッピングしたり、折りコンなどをシールなどで封印して、QRコードを貼る、というような対策がされていると思います

ブロックチェーンの活用としては、以下の図のように、折りコンなどを物理的に電子鍵で封印し、その電子鍵情報をブロックチェーンの証明書の中に埋め込み、納品書として最終の処方薬局に送り、そこで初めて開錠して箱を開けられるという仕組みが作れます

接種証明、服薬証明

重い病気のための重要なワクチンの注射や、シビアな病気のための服薬で、病院、診療所でオーダーに基づき行われ、看護師が正確に「与薬」する時、ブロックチェーンによる証明書を回付したり、分割して患者にも渡す仕組みが作れます

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