5.服薬管理支援の薬箱(案)の紹介
服薬データの記録やハンドリング
処方箋データは医療情報のごく一部ですが、それでも、薬とその服用方法のデータだけではなく、処方医、患者情報、調剤結果、薬剤師などの情報をハンドリングします
HL7に基づくデータ構造も定められています(CDA: Clinical Document Architecture)
(Source: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000342368.pdf)
このほか、実際の服用データ、投薬後の診察データなども必要となるでしょう
服用データの記録やハンドリングを実際のシステムに実装するときは、こうした規格に準拠することが重要ですが、ここでは、説明と理解のため、簡素化して以下のように簡単なデータ・フォーマットを想定します
1.処方データ
2.服用記録

(参考)医療情報の規格
医療情報の中で、服薬管理に必要なデータは、ごく限られていますが、医療情報を転送する、共有する、交換する場合の規格を見ておきます
HL7
(Source: https://www.hl7.jp/whatis/)
- 医療情報交換のための標準規約で、患者管理、オーダ、照会、財務、検査報告、マスタファイル、情報管理、予約、患者紹介、患者ケア、ラボラトリオートメーション、アプリケーション管理、人事管理などの情報交換を取り扱う規格です
- 米国のHL7協会本部では数多くの技術委員会を組織し新しい標準の研究・作成を行っており、会員(米国及び国際支部国)の承認後、発行されていきます
- 日本においても日本HL7協会があり、JAHIS(保健医療福祉情報システム工業会)内に事務局が置かれています。大学病院などのシステム化や各種の標準化活動において本標準が採用されています
SS-MIX
(Source: https://www.jami.jp/jamistd/ssmix2/)
- HL7を基本に診療情報の標準化と交換、保存を定義していく、日本における厚労省の推進事業であり、また標準です
- その後、日本医療情報学会(JAMI)が中心となり、HL7 Ver.2.5に準拠し改定したSS-MIX2が作られています
DICOM
(Source: https://www.dicomstandard.org/)
- 医用画像データに関する規格です。本来、米国の規格でしたが、世界的にデファクト標準となり、ISOも参照規格として認めているそうです
この薬箱の狙い
薬やサプリを薬袋や薬びん、パッケージに入れたままで、服用状況を把握する薬箱(案)の紹介です(特許第5967792号)。この薬箱はまだ、商品化されておりませんので、商品化したい方はご相談ください
この薬箱の狙いは、これまでに掲げてきた以下の三点です
1. 処方薬の服薬管理(服薬アドヒアランス)の支援
- 薬袋に入れたままなので、薬袋に書いてある処方の情報を読みながら服用することができます
- あらかじめ薬を小分けにする手間が省けます
- 旅行で袋ごと持ちだしたり、一時的に次の薬袋と重複しても、その状態を把握します
2. 高齢者見守り
- ネットワークにつなげておけば、薬箱を利用していることが遠隔で分かります
- 離れてお住いの子供世帯からも、薬を飲んでいるか、というモニタリングは自然のように思います
3. OTC医薬品、栄養サプリメント、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品などの飲み忘れ防止
- 飲み忘れは売り上げの減少となりますが、それにアラートを出したり、啓蒙的なメッセージを伝えられます
- 薬の薬袋をそのまま入れて置けるように、OTC薬品を薬びんのまま、また、サプリやトクホもパッケージのまま置けます(冷やしたい場合は、冷蔵庫用にもう一つ必要です)
薬箱の特徴
蓋のない箱に、薬袋でもびんでも多数、バサッと入れておいて、重量の増減から、その状況を判断していくロジックを持った装置です(特許あり)。PTP包装のまま、散剤はその袋のまま、目薬でも鼻の噴霧剤でも大丈夫です
- 薬剤ごとに朝昼晩、食前食後、食間といった、服用時間を登録します。その時服用する薬が何か、その重量はどれほどかを登録すれば、より細かくモニタリングできます
- 服用予定の時間を過ぎて、重量が減っていないと、飲み忘れのアラームを出します。服用する薬とその重さを登録した場合、減ってはいるけど、予定ほどではない、というときに、一部のみ忘れのアラームが出せます
- 錠剤だけであれば、1錠当たりの標準重量は同じとみなしてもいいでしょう、しかし散剤やドリンクもある場合は、それぞれの1単位重量をセットしたほうが正確に測れます

薬箱の特徴 2
- 外出、旅行、出張などで、複数回の服用分(PTPの1シートなど)、あるいは薬袋や瓶を丸ごと取りだし、帰宅後に戻すことを、その大きな重量変動を感知して認識し、外出中の薬の使用量も把握します
- 旅行先で薬袋やPTPシートを飲み切って、廃棄した場合の重量変動も把握します
- 薬袋の次の処方があって一時的に薬袋が二つ、ダブるとき、OTC薬品やサプリも、瓶が一時的に二つになる時も、その大きな重量変動を認識し、空になったものを廃棄するときも、同じく大きな重量変動として認識します

機構の要約
【課題】 複数の薬袋を入れる薬箱の重量の時系列変動をもとに薬の飲み忘れを検知する。
【解決手段】 薬袋服用管理装置200は、重量センサー201による薬箱の重量変動と時計202によるタイムスタンプを受信する変動判断部209と、食事・服用時登録部205と、患者ID・薬服用単位登録部206と、判断基準登録部207に基づき薬の飲み忘れ又は一部飲み忘れがあるか否かを判断し、薬の飲み忘れ又は一部飲み忘れがあると判断された場合にそのメッセージを患者に伝達する情報伝達装置300を備える。

より詳細に把握し、オンラインでモニタリング
薬剤を判別する情報と、処方の情報を登録します。薬箱と、本部の管理データベースをオンラインでつないで、長期時系列の服用状況を、医療者や介護者、また高齢の親御さんを心配する子世帯に提供できます。長期時系列が多数、長期に集まれば、製薬会社などにフィードバックする価値も生まれそうです
- 薬剤それぞれの一回当たりの服用重量を登録しておくと、一部のみ忘れも判別できます。これには少しハードルがあり、いくつかの案が考えられます
- 処方薬であれば、薬袋に表記される服用情報を、処方薬局から患者ごとオンライン提供していただくか、薬袋にコードプリントして、スマホなどのカメラ、光学センサーを用いて読み取り送信する
- OTC、サプリは、大人なら誰でも同じ、標準的な用量が決められているので、商品のJANコード入力ないしはスマホのカメラ、光学センサーで読み取る
- 利用者が自分で手入力する(例えば、薬箱とスマホを連携してスマホから入力。リストバンドの活動量計のような仕組み。)または、介護、見守りサービス者が代行して手入力する
- データがとれれば、長期時系列で服用履歴はもとより、その人の食事時間などの生活パターンなどもある程度わかり、医療者や介護者などが見れば、どのように服用してどのように効果があったか、薬の血中濃度の推移などが推定でき、次の診断や行動に生かせます

おわりに
高齢者の服薬が非常に多いこと、これは日常の経験から当たり前ととられるかもしれませんが、統計の裏付けを見てみました。服薬管理を支援して、忘れずに正しい時間に服用を続けることが重要です
大都市圏内でも、高齢者の住まいが集中する地域として、古い戸建て住宅街、団地、マンションなどがあります。サービス付き高齢者住宅も含め、医療リソースへのアクセスが容易で、各世帯がばらばらに医療機関や処方薬局を選べるため、服用支援ツールを想定してみると、あまり大掛かりなシステムを活用する機会はないだろうと思われます
服薬と食事のタイミングはリンクされることが多いですが、上記の高齢者が増加する住宅は、通常はキッチンが別々にあり、入居者もまだ、身体の自由が利き、服薬も居住者本人がある程度正しく行えるため、個人で飲み忘れが無いかチェックできる程度の、個別のツールがいいようです
もっとも、OTC薬やサプリについて、その地域のドミナントなドラッグストアチェーンが服薬支援ができる薬箱を配ると飲み忘れ防止=売り上げ増加の効果があるかもしれません
一方、地方の医療過疎地域については、ドクターも調剤薬局も限られるため、広い住宅地域に戸建てが多くても、少ない医療スタッフ、医療資源を効率的に活用するため、服薬支援ツールの統合活用は良いかもしれません
介護保険が適用されるような、高齢者向け施設ついても、配薬準備から食事、服薬までの施設としての業務があり、こうした施設に向いた服薬支援ツールがあれば、効率や正確性を向上できそうです
最後は当方のアイデアである服薬管理支援のための薬箱の紹介となりましたことをご容赦ください ブロックチェーンのサプライチェーンにおける活用試案もあげてみました。ブロックチェーンについて、ほかにも産業活用向けコンテンツを作成し、掲示しております。また、コンテンツは増やしていきますので、時折、ウェブページ上をご参照ください
ーーーーーーーー
このコンテンツはここで終わりです